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加藤宏一さん

Koichi Kato

加藤宏一 Koichi Kato

1952年、青森県青森市生まれ。76年に神田市場・東京青果株式会社入社。広報業務に従事し、メディア制作や執筆を担当。TBS『はなまるマーケット』やTBSラジオ『ゆうゆうワイド』などメディア出演も多数。2017年から22年まで千葉県立農業大学校の非常勤講師として勤務。23年10月から東京都青果物商業協同組合荏原支所の情報担当に着任。

加藤宏一の

タアイもない野菜のハナシ

長らく東京青果株式会社の広報として活躍し、多くのメディア出演のほか、農業大学の講師としても野菜の魅力を広めてきた加藤宏一さん。最近、食に目覚めた808+(ヤオヤプラス)の記者が“野菜博士”に素朴なギモンをぶつけます。

——記者 ——加藤さん

——加藤さん、こんにちは。いきなり私ごとですが、最近子どもが生まれたこともあって、食に対する意識がとても敏感になりました。


——それはおめでたいですね。ぜひ、お子さんのためにも食材の正しい知識を身につけてください。「食のリーダーシップ」はこれからの時代に重要なキーワードになると思いますから。


——食のリーダーシップ?


——かの有名なスティーブ・ジョブスは「優秀な人材はみんな自己管理ができる」と言ったことがありました。私は日常においても同じだと思うんです。自己管理ができる人は毎日健康に過ごせる。その上で食事は健康生活に欠かせません。記者さんは、お肉をよく食べますか?


——大好きです。週の大半は食べているかも…。


——良質なタンパク質を摂ることは大事なことです。ただ、同時に野菜や果物をバランスよく摂取しなくてはいけません。野菜を食べて感動したことはありますか?


——「感動した」という経験はまだないかもしれません。


——世の中で「うまいもの」と認識される肉や魚に感動するのは当たり前。でも良い野菜に出会うと、心が揺さぶられますよ。


——加藤さんが感動した野菜は何ですか?


——私も若い時は食生活がめちゃくちゃでしたが、仕事柄、全国の野菜や果物を食すことができました。たとえば、三浦産のカボチャ。スーパーに並ぶ輸入品のカボチャも美味しいんだけど、味が全然違うんですね。ホクホクで、甘くて、醤油で煮たら最高ですよ。そういう出会いを繰り返していくうちに楽しくなってきたんです。割烹で食べた里芋が美味しくて産地を調べたり、お味噌汁がなぜこんなにうまいんだろうと考えたりね。


——知識を得ることがリーダーシップにつながる。


——そう。つまり、アンテナを張るようになったことでいい食材に出会うことが増えたんですね。お味噌汁なんて、野菜がもっと活躍できる料理かもしれません。使う味噌との相性や具材の切り方ひとつでまったく味が変わる。おすすめは「ごぼう」。昆布だしやカツオだし、色々あるけれど、ごぼうを刻んで入れてみてください。ごぼうのだしは非常に深い味わいになる。すって入れてもすごく美味しいんですよ。

——へえ! ごぼうをするんですか。


——ただね、あくまでも香りがいいごぼうであることが重要で。つまり、お店に並んでいるものなんでもいいかというとそうじゃない。


——どうやって見極めればいいのでしょう?


——それは単純です。八百屋さんのご主人さんに聞くこと。


——お店で話しかける?


——そうです。「お味噌汁に入れたいんだけど…」と聞けば、より香りが出やすいごぼうを教えてくれる。みんなプロだから「今一番おいしい野菜なあに?」「どうやって食べるの?」と聞いたら即座に教えてくれますよ。逆に言えば、すぐに答えられない八百屋さんやスーパーだったら行く必要なしです(笑)


——なるほど。


——スーパーにだって必ず青果担当がいますから。八百屋のような小さな商店はより“理由”をもって選んでいる。だって「チョイス」が命の商売ですから。その情報に触れることは美味しい食材に出会うきっかけになります。料理人は「野菜を扱えないと一流になれない」とよく言いますが、市場に行けば、仲卸の方と話し込むシェフをよく見かけますよ。市場の人や八百屋がただ野菜や果物を売るだけの簡単な商売に見えていたかもしれませんが、じつは奥が深くて難しい仕事なのです


——「八百屋さんとの会話を楽しむ」ですか。コンビニでも野菜を買える時代ですが、週に1回でも、こだわって野菜や果物を選ぶ日をつくってもいいかもしれないですね。


——とてもいいことだと思います。旬の野菜をつかって献立を考えたり、おすすめされた野菜を手に取ることで、きっと小さな発見がある。日本はね、曲がったきゅうりばかりを売ってるお店はないでしょう? どこのお店でもまっすぐのきゅうりが置かれている。それはほとんどの農家さんが農薬を減らし、正しい育て方をしている証拠。生産者から繋がるバトンをぜひ受け取ってみてください。

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